企業の採用力は一般的に有効求人倍率に左右されます。有効求人倍率が高いほど採用しづらくなるのです。しかし、、同じ採用環境下でも採用に成功する企業もあれば失敗する企業もあるのです。それは採用環境以外の要素、すなわち企業の持つ「採用力」が大きな影響を与えているからです。
採用力は大きく分けて次の4つの要素から構成されます。
Business&Company 企業力、Mission&Culture 仕事内容・仕事環境、Working Conditions 募集要項や処遇Recruiting Activities 採用活動全般 です。
採用力=企業力×仕事内容×募集要項×採用活動全般となります。
それでは一つひとつ具体的に見ていきましょう
Business&Company 事業力・企業力は下記の4つの項目から成り立っています。
【事業・企業】
・事業の優位性、先見性・企業規模・マーケットの規模、将来性・歴史、沿革・業界内のシェア、ポジション・事業所数、・営業、販売力・成長性、マーケティング力・売上高、収益・社会貢献性・上場、非上場
【経営・マネジメント】
・理念、ビジョン・意思決定力、実行力、実現力、イノベーション、革新性・情報発信力・人材開発力・組織 形成力
【イメージ・認知】
・企業や組自体のイメージ・コミュニティ、ネットワークによる評判・社会的認知・広告、販促、HP、CMイメージ・業界、業種全体のイメージ
【商品サービス・顧客】
・ブランド力・店舗の認知度・イメージ・サービスの認知度、イメージ・顧客数、リピート性・顧客満足度
事業力・企業力については、すぐには変えにくいことが多く、採用力における「企業力」の特徴はすぐに変えるのが難しい事です。ただし、CMなどにより業界や企業のイメージをある程度変えることは可能です。
Mission&Culture 仕事内容・仕事環境は下記の4つの項目から成り立っています。
【仕事】
・仕事内容・やりがい、面白み・社会的貢献、社会的使命・キャリアアップ、成長への期待・教育、研修、育成体系の充実
【執務環境・職務環境】
・立地・利便性、周辺環境・外観、内装、デザイン・システムの充実度・設備、機器の充実度
【組織風土・企業文化】
・オープン性、解放性・協調性、チームワーク・多様性、ダイバーシティ・目的やビジョンの共有性・リフレッシュ
【ライフスタイル】
・ライフスタイルの融合・勤務時間勤務内容、勤務時間との融合・心身共に健康で働ける環境・家庭の理解
企業が採用をするにあたって明確にしておかなければならないのは当然ですが、求職者にとっては面接の場を通してこのあたりを明確にしていけるかという点も企業選びという視点からとても重要な要素となります。
Working&Conditions 募集要項や処遇は下記の4つの項目から成り立っています。
【勤務条件】・給与、賞与、昇給、報酬体系・勤務時間、休日、残業・各種社会保険・寮、社宅など・キャリアパスプラン
【人事制度】・明確な人事方針と共有性・人事制度の充実、目標、計画、進捗支援の仕組み・自己啓発支援制度・自己申告制度
【人材活性施策】海外研修、異業種交流・自社持株会制度・誕生日休暇、社内食堂、保養施設・永年勤続表彰
【雇用形態・ワーク&バランス】・正社員、準社員、契約社員・アルバイト、パート、委託・正社員登用制度ワークライフバランス・育児、介護などへの諸制度
最近では採用力を高めるために、大卒などの初任給を大幅にアップする企業もでてきたが、こちらも変えるのに時間がかかります。
Recruiting Activities 採用活動全般は下記の4つの項目から成り立っています。
【採用活動への投資資源】・マンパワー・時間、予算、情報・知識、ノウハウ、スキル・チャネル・ツール
【採用広報力】採用目的の明確化・採用目標の設定・求める人物像の明確化・採用ターゲット動向、媒体戦略採用体制
【採用活動実務力】・応募者対応・アクセス対応・面接設計、面接運用・面接担当者のスキル・採用決定者の入社までのフォロー・不採用者への対応、ファン化
【採用担当者力】・採用担当者自身の魅力・採用実務遂行力・自社や事業、商品やサービスへの情熱、採用活動への情熱・採用活動のPDCAからのフィードバック
大きな4つの要素の中で、採用活動全般に対するところは、予算やどんな媒体を使うかなども含めて一番変えやすいところです。また、採用担当者のマンパワーは極めて重要なのは言うまでもなく、採用の成否を決定すると言っても過言ではありません。
採用力=企業力×仕事内容×募集要項×採用活動全般のように掛け算なので、例えば企業力の中の企業イメージが、不祥事などでマイナスになった場合などは、たとえ大企業であってもよい採用をすることは困難であると言えるでしょう。